遺産を受け取る方が留意すべきポイント
相続手続きには様々な手続きがあり、また、それぞれの手続きに厳格な期限が定められているなど大変複雑な手続きとなっています。
本稿では、そのような相続手続きを進める中で、遺産を受け取る方がどのような点に留意をするべきなのかについて詳しく解説いたします。
ポイント① 相続手続きの流れを把握する
相続手続きを法定の期間内に適切に行うためには、まず相続手続き全体の流れを把握することが重要となります。
相続手続きの大まかな流れは以下の通りです。
⑴死亡から7日以内
*死亡診断書の受け取り
*死亡届の提出
⑵死亡から10日以内
*葬儀
*年金受給停止の手続き
⑶死亡から2週間以内
*健康保険の資格喪失届の提出
*介護保険の資格喪失届の提出
*世帯主変更届の提出
*生命保険金の受け取り
*金融機関への連絡
*公共料金や各種サービスの変更と解約
⑷死亡から3か月以内
*遺言書の確認
*遺言書の検認
*相続人の調査
*相続財産の調査
*遺産分割協議の開始
*相続放棄、限定承認
⑸死亡から4カ月以内
*所得税の準確定申告
⑹死亡から10カ月以内
*遺産分割協議書の作成
*各種の相続手続き
*相続税申告と納付手続き
⑺死亡から1年以内
*遺留分減殺請求手続き
⑻死亡から2年以内
*葬祭費、埋葬料の申請手続き
⑼死亡から3年以内
*税務調査への対応
⑽死亡から3年10カ月以内
*相続税軽減の手続き
⑾死亡から5年10カ月以内
*相続税の還付請求の手続き
ポイント② 相続放棄や限定承認の手続き
相続財産を承継する方法には、相続財産全部を譲り受ける単純承認の他に、相続人の方が相続財産を承継する権利を放棄する相続放棄、被相続人の債務を清算した後に残った相続財産の限りで財産を承継する限定承認という方法があります。
相続放棄や限定承認といった方法を選択したい場合、自己のために相続の開始があったことを知ってから3か月以内に手続きを行わなければなりません。
この期間を過ぎてしまった場合、強制的に単純承認での相続となってしまうため、注意が必要です。
ポイント③ 遺留分
遺留分とは、お亡くなりになった方の兄弟姉妹以外の法定相続人の方(配偶者や子、直系尊属)が遺産を相続する際に主張できる最低限の取り分のことをいいます。
この遺留分を他の相続人が侵害している内容の相続が行われる場合には、侵害を受けている相続人は、遺留分を侵害した他の相続人に対して遺留分侵害額請求を行うことにより、遺留分に相当する遺産を金銭の形で取り戻すことができます。
もっともこの遺留分侵害額請求権は、相続人の方が相続の開始及び遺留分侵害があったことを知った時から1年が経過すると消滅時効により、相続開始の時から10年が経過すると除斥期間の定めにより、行使することができなくなります。
そのため、自己に遺留分がどれだけ認められるのか、遺留分侵害額請求をするとすればいつまで可能なのかといった点についてしっかりと把握をしておくことが必要となります。
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