相続手続きの流れと期限をわかりやすく解説
相続手続きは、流れや期限を把握していないと、トラブルを引き起こす可能性があります。
本記事では、相続手続きの基本的な流れと期限について解説します。
相続手続きの流れ
相続手続きの一般的な流れは以下のとおりです。
- 遺言書の有無の確認
- 相続人の確定
- 相続財産の確定
- 遺産分割協議
- 相続財産の名義変更
1. 遺言書の有無の確認
まずは、亡くなった方が遺言書を残しているかを確認します。
遺言書が見つかった場合は、原則として遺言書に従って手続きを進めます。
2. 相続人の確定
相続人の範囲は法律で定められており、配偶者、子供、親、兄弟姉妹などが該当します。
相続人を確定するには、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本を取り寄せ、そこから必要に応じて追加で戸籍謄本を取得しながら相続関係を確認しなければなりません。
3. 相続財産の確定
亡くなった方が保有していた相続財産をすべてリストアップし、評価を行います。
相続財産には不動産、預貯金、有価証券などといったプラス財産だけでなく、借金、家賃や医療費の滞納分といったマイナス財産も含まれるため注意してください。
4. 遺産分割協議
相続人全員が参加し、どのように遺産を分割するのか話し合いの場を設けることを遺産分割協議といいます。
遺産分割協議が成立する条件として、相続人全員の同意を得るということがあります。
そのため、遺産分割協議は、相続財産が大きかったり、相続人同士が疎遠であったり、不仲であるというような場合には争いになりやすい遺産分割と場合、取り決めまでにかかる期間が長くなったり、調停や訴訟に発展することがあります。
協議の内容に全員の合意が得られない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てることもあります。
5. 相続財産の名義変更
遺産分割協議がまとまったら、遺産分割協議書を作成します。
作成した遺産分割協議書に各相続人の印鑑証明書を添付することで、不動産や預貯金の名義変更手続きが可能になります。
相続手続きの中でも重要な期限
相続手続きには、いくつかの重要な期限があります。
- 相続放棄・限定承認(3ヶ月以内)
- 準確定申告(4ヶ月以内)
- 相続税の申告と納付(10ヶ月以内)
- 相続登記の申請(3年以内)
相続放棄・限定承認(3ヶ月以内)
相続放棄(一切の財産を引き継がない手続き)や限定承認(プラス財産の範囲内でマイナス財産を引き継ぐ手続き)は、相続開始を知った日から3ヶ月以内が期限です。
相続財産の確定が終わったタイミングで判断できるのが理想です。
準確定申告(4ヶ月以内)
被相続人の代わりに、亡くなった年の所得税の確定申告を行います。
死亡したことを知った日の翌日から4ヶ月以内に、申告をする必要があります。
相続税の申告と納付(10ヶ月以内)
遺産を受け取った人は、被相続人の死亡当時の納税地の税務署で相続税の申告を行います。
死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内に申告と納付をする必要があります。
相続登記の申請(3年以内)
2024年4月1日から相続登記が義務化されています。
相続登記は、被相続人が死亡したことを知り、自身が不動産の所有権を取得することを知った日から3年以内に行う必要があります。
また相続義務化前の相続も対象となり、起算点は施行日から3年以内です。
何もしないで期日を守らなかった場合、過料が科せられる可能性があります。
まとめ
今回は相続手続きの流れと期限について解説しました。
相続の法的な手続きを行うには、相続財産の調査や遺品などを整理して遺言書の有無を確認するというような作業が必要となります。
作業量を考えると、各相続の手続きの期限はかなり短く設定されているといっても良いかもしれません。
自力で難しいと感じた場合には、弁護士などの専門家に相談することを検討してください。