【弁護士が解説】労働審判を起こされたら企業はどう対応すべき?
労働者とのトラブルが解決できず、結果として「労働審判」を申し立てられるケースは珍しくありません。
労働審判は、裁判に比べて柔軟に解決を図るための手続きですが、対応を誤ると企業側に不利な結果となる可能性があります。
今回は、労働審判の基本的な仕組みと企業が取るべき初期対応のポイントを解説します。
労働審判とは
労働審判は、労働者と企業の間で生じた労働条件や解雇、残業代の未払いといったトラブルを解決するための裁判所の手続きです。
原則として3回以内の期日で審理が終了する仕組みになっており、長期間にわたる通常訴訟に比べてスピーディに解決できるのが特徴です。
合意に至らない場合、裁判所が審判という形で判断を下します。
不服があれば2週間以内に異議申立てができ、通常の訴訟に移行します。
企業が取るべき初期対応
企業の対応としては、以下の4つになります。
- 申立内容を正確に把握する
- 早期に証拠を収集する
- 回答書を適切に作成する
- 弁護士に相談・依頼する
それぞれ確認していきましょう。
申立内容を正確に把握する
解雇無効や賃金請求、ハラスメントなど、労働者の申立ての内容によって企業が取るべき対応は異なります。
まずは申立書を精読し、労働者が何を求めているのかを整理しましょう。
同封されている「労働審判手続期日呼出状及び答弁書催告書」では、第1回期日の日時や審判が開かれる裁判所を確認できます。
早期に証拠を収集する
企業は、労働者の申立てに対して反論できる材料を用意しなければなりません。
たとえば以下のようなものがあります。
- タイムカード
- 就業規則
- 給与明細
- メール記録
労働条件や勤務実態を示す証拠をすみやかに集めてください。
回答書を適切に作成する
裁判所に提出する回答書は、企業の立場を明確に伝える重要な書類です。
労働者の主張を否認するだけでなく、事実関係を整理し、証拠とともに説得力のある主張を行う必要があります。
弁護士に相談・依頼する
労働審判は法律的な知識だけでなく、労使関係の実務経験が求められます。
専門の弁護士に早めに相談し、戦略を立てながら対応すれば、和解交渉や審判で有利に進められる可能性が高まります。
まとめ
労働審判は短期間で結論が出る分、初期対応の質がそのまま結果に直結しやすくなっています。
申立書を受け取ったらすぐに証拠を集め、専門の弁護士と連携して対応方針を固めてください。
企業にとって労働審判は大きなリスクですが、正しい準備と適切な対応を心がければ、被害を最小限に抑えられます。
労務管理体制を整えると同時に、万が一の場合には早期に弁護士へ相談することをおすすめします。